日本屈指のツーリングカーレースイベント、スーパー耐久レースにおいて、常勝軍団として活動していたレーシングチーム。それがオレカテクニックイデアルの原点です。

 日産自動車のグループ企業をメインスポンサーに持つチームは、かつて日産ワークスを率いた水野和敏氏が監督(ニューGT-Rの開発責任者でもある)を勤め、エースドライバーが粕谷俊二。常に他を圧倒するスピードは、幾多のコースレコードを記録。その活動拠点として、1999年に設立されたファクトリーが、オレカテクニックイデアルなのです。会社の主な仕事は、レースマシンの設計、開発。そしてレースチームの運営でしたが。設立からしばらくすると、その開発力が評価を受け、手の開くオフシーズンに、チューニングパーツの開発、生産依頼を受けることが徐々に増えていきました。当初は、レースの合間、限られた時間での対応でしたが、このチューニングとの出会いが私達スタッフの心根にある「好きなクルマで日常生活を楽しむという」という、原点回帰への良い機会となり、現在私達が、チューニングパーツメーカーへと至る足掛かりとなりました。

 その理由はいたってシンプル。なぜなら、好きなスポーツカーを走らせることは、それだけで楽しいからです。私達は、スポーツカーのあるべき姿を語り合うにつれ、若き日にレース活動を夢見ながら走らせた自慢のチューニングカーを想い起こしました。そして、いつかは世界有数のスポーツカーを、より快適に、そして高性能なものへモディファイしたいということ答に辿り着いたのです。目標とするチューナーは、スポーツカーに対する情熱、志を抱き、高度な基盤技術を持ってレースで君臨したAMGやシュニッツアーでしょうか。私達は、いつかは彼らに追いつけることを信じ、日々努力を惜しまず、仕事をして行きたいと考えております。

 
最大出力は500馬力オーバー、富士スピードウエイのストレートエンドで時速280km/hをマークするGT−Rは、レーシングテクノロジーの結晶。メンテナンスには特別な技術、機材そしてヒューマンスキルが要求されます。レースでは、壊れた部品を交換。といったレベルの整備では、ドライバーの安全を確保することはできないばかりか、勝利の二文字とは無縁....しかし、本来の自動車整備とは、トラブルを未然に防ぐために行うものなのではないでしょうか。それが、私達の原点、哲学なのです。

ファクトリーには、一般の整備工場にはない旋盤、フライス、プレス、シャーリングetc...といった工作機械が数多く設置されています。レースパーツの製作はもちろんのこと、大半のチューニング部品が内製可能となっている設備こそが私たちの自慢。 物作りへの拘りは、お客様へお届けする部品一つ一つに込めております。そしてそれは、私達にとって技術向上に最も重要なテーマでもあるのです。

現在チームオレカが擁するレーシングマシンは、本国アルファロメオワークスが世界のレースシーンで勝利するために製作した147スーパープロダクション。この世に9台のみ生産されたうちの1台です。イタリアから我々のチームに完全委託されたワークスマシンの意味、それはNテクノロジーとチームオレカの信頼関係の証。エンジン、サスペンション、給油システムは、弊社にて耐久レース仕様へモディファイ。世界で唯一の24時間レース仕様となっています。

機能性の高いコックピットには、最新のエレクトロリックコントロールシステムと安全装置を装備。もちろんエンジン、ミッションに至るまで、F1でも採用されている最新鋭のレーシング技術が反映されています。チームオレカでは、こういったマシンに投入されている技術を、ユーザーサービスやチューニングパーツの開発へ惜しみなく投入しております。

曲がる、止まる、加速する。これは、スポーツカーに求められる基本的な要素。それには、ボディ剛性の向上、サスペンションジオメトリーやモーションレシオを適切な値へ変更、ブレーキシステムの管理等トータルバランスが重要となります。レースの世界では、日常的な開発作業ですが、一般整備やチューニングの世界では踏み込めない聖域であることも事実です。しかし、これまでレース活動に特化してきたチームオレカとって、この当たり前の技術が、現在最大の強みとなっているのかもしれません。

エアジャッキを装備、これはレース中にピット作業を最短時間で行うシステム。サスペンションはスペシャル、強靭なスタビブラケットは、ロールケージの支点上に造られています。パラレルリンク、ダンパー、24時間レースにも出場可能な特殊な燃料タンク。そして、マフラーはもちろんOrque Pawerです。

レーシングカーにとって最も重要となる装備は、自動消火、オートマチックフューエルカット、ロールケージといったドライバーを守るセーフティシステムです。これは、プロフェッショナルな世界では当たり前のことですが、アマチュア用のマシンでは後回しにされがちです。サーキット走行において、安全を最優先にしたい、私達はそう考えます。レース=危険ではありません。要は本人次第ということなのです。自分の身は自分で守るという自己責任は、一にマシンの設備、二に整備、そして、三にドライビングテクニックとなります。そして、参加するサーキットイベントも安全管理のしっかりした団体を選びたいものです。

外観こそ普通の147、156に見えるスーパープロダクション仕様ですが、その走りは切れの良いナイフの感覚。フォーミュラーマシンにアルファのボディを乗せていると言えば分かりやすいでしょうか.....その理由はシャーシー、エンジン、ドライブトレーンがピュアレーシング仕様、要は市販車とは全くの別物ということなのです。ワンメイクレース用に造られたアルファチャレンジ仕様などもありますが、これは市販車を改造したチューニングモデルに過ぎず、スーパープロダクション仕様とでは比較になりません。

ここ数年、世界ツーリングカー選手権ラウンドの一戦として開催されているマカオグランプリ。危険な公道サーキットで行われる、東洋一のツーリングカーレースと賞されるレースは、ドライバーに高度なテクニックを要求する高速コースで戦われます。そんなマカオグランプリを走る156SP。もちろんドライバーは粕谷、メンテナンスはティームオレカでした。我々の戦いの舞台は、日本に留まりません。

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