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イベント掲示板[連載]粕谷俊二のオフタイム採用情報


できることから始めようと思う
2019.10.15

ここ数年は、僕が大好きな海で行っているオレカ主催のイベント。マリーナから花火大会を見たり、外洋へカジキを狙いに出航したりと、年に一度だけ客様と楽しむ機会を設けてきました。しかし残念ながら今年も台風の影響を受け、慣れない方をお連れできる海況にないことから中止に。ただ、せっかく船を出す準備をしたので、外洋は2―3m程度のうねりが入っているとの予報でしたが、漁になれたスタッフとリスクの少ないポイントを狙って出航。しかし外洋に出ると予報以上の波があり、早めの帰港となりましたが、それでも意地でカツオを何本か釣り上げました。10年ほど前であれば、カツオを釣るのは簡単でしたが今は魚が減っており、貴重な存在です。スタッフみんなで美味しくいただきました。感謝。

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マリンブルーに輝く釣りたての鰹

360度見渡す限り水平線となる漁場まで出ると、自然豊かな海の素顔に触れることが出来ます。気分転換には最高の場所でありながらも、近年地球温暖化の影響による大きな変化を目の当たりする機会が増えるにつれ、心から海を楽しめない自分がいることも事実です。世界中で関心が高まっている温暖化による環境破壊が、引き起こす問題は数知れない。だが、目の前で起こっている海水温の上昇による生態系の変化一つを見ても、自然に生きる弱い生命ほど致命的な影響を受けていることがよく分かる。かつて海鳥は、どこでも見られましたが、今は違います。魚が減りナブラが立たないので、これに群がる鳥山を見る機会はほとんどなくなった。

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大きいものは7kg!!

海では、もう一つの脅威として削減が急務となっているプラスティック廃棄物。最近北極の雪からも大量のマイクロプラスチックが検出され、氷河の急激な減少と同じく、自然と共に生きる生物にとって生死に関わる問題と成り得ることが指摘されている。原因は、自動車が走行する際にタイヤが摩耗する際に発する破片、屋根の塗装が風化して大気中に拡散されていること。これらが気流に乗り極地まで到達していたのだ。人間による開発が最も遅れているはずのエリアの環境ですら、深刻な打撃を受けていることを知り、人間の生活が生み出す環境破壊の底知れない広がりに、もう無関心ではいられない。

10月だというのに、強い台風が関東を直撃した。国際報道では、これも急速に進む地球温暖化によって引き起こされた悲劇的なニュースとして扱われ、被害よりも異常とされた過程をフォーカスする番組が多く見られた。しかし、残念なことだが、日本の報道は、いつものことだが視聴率重視に興味本位に同じような被害状況を繰り返すばかりで、伝えるべき根本的な原因、海水温の異常な状況、理由、すべき対策など科学的な議論を取り上げる番組は少ない。政治もしかり、悲劇的な被害に世界が騒然となっているアマゾンの森林火災に対し、日本政府は的外れな支援物資(テントなど)送ってご満悦だというから、閉ざされた島国で平和に暮らす日本人は、危機感が薄いと揶揄されても致し方ない。

自分の人生を賭けた自動車レースは、今存続の危機を迎えている。世界最高峰F1を牽引するリーダーも、現状のままでは存続できないとコメントしているが、ハイブリットマシンの導入、近い将来にバイオ燃料の使用も模索(製造過程での自然破壊が問題視されているだけ説得力は薄いが…)するなど環境への配慮を重視している。しかし、電気自動車、Eスポーツによるレースの台頭を見るに、長い歴史を持つF1ですら、近い将来、社会的に終止符を打たれたとしても不思議はない。今も、F1には僕にとっては、技術的に興味深いものがあるし、参加するものとしては非常にスリリングだ。しかし、ルールすらよく知らない人ですら心動かされるラグビーの試合のように、レース観戦で感動したと聞いたことはあまりない。レ―スの花はクラッシュなのだから。

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集魚灯に集まる小魚の群れ

国連で環境問題が論議される中、回生エネルギーで走るヨットで大西洋を渡り、出席者として注目を集めた少女がいる。彼女の意見、今すぐに取り組むべき道筋は明快であり、多くの支持者が、国連本部のあるニューヨークで大きなデモを行った。その影響力は、今では米国やロシアの大統領からも疎ましがられるほど大きくなっている。日本から出張った環境大臣の立ち振る舞いとは天と地、それどこか本来国民の規範とあるべき公僕の長の姿からは程遠く、日本人としては恥ずかしいばかりだ。


そんなグレタさんも、一部のメディアから批判を受けることに...理由は、ヨットを英国へ戻すクルー数名を飛行機で移動したからだ。ようは結果的に飛行機を使うならば、ヨットでの移動は単なるPRに過ぎず、環境問題を語るにあらずということらしい。近年、温暖化に対する意識の高い欧州では、飛行機の非効率な燃料消費と排気ガスが、環境破壊の象徴とされており、利用者に対して飛び恥という言葉が生れるほど、敬遠されているのだ。しかし、日本で飛行機の話題といえば、行政主導の下、羽田の離着陸回数を増やすために、東京上空を低高度で飛ぶ新たな飛行ルートが、騒音、危険性を指摘されながらも、民意に反し設定された問題。東京近県には、利用者が少ないため赤字続きの空港が茨城、静岡があり、観光誘致が目的なのであれば、何故活用しないのかとの有識者の意見も出たが、温暖化に対する知識、配慮、何よりも想像力に欠ける官僚が耳を傾けることはなかった。

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素敵な自然を後世に伝えなければ

1989年、自分が初出場したルマン24時間耐久レースで消費されたガソリンの量は約21万リットル。たった一度のレース、70台余りが予選、決勝を走っただけでこれだけの燃料を燃やしてしまうのです。会社としては、スポーツカーを楽しむ世界に従事しているので、モータースポーツ全てが否定される前に、環境に配慮したスポーツカーの楽しみ方の提案を進めています。そして、個人的にも身近なことから始めることにしました。それは、カジキ釣りから卒業すること。ティームオレカ号には、2機の大型エンジンが搭載されており、外洋航海では一日に1000リットルを超える軽油を消費してしまうことが、その理由。多くの方が、マリーンイベントを喜んでくれただけに、とても残念ですが、今年で最後。僕も身近なことから、温室効果ガスの削減を始めようと思うのです。