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ボーダーライン
2022.07.16

 日本で生活していると、侵略、命の危険を感じる機会は皆無に等しく、有事に対する備えが疎かになりがちだ。しかし、ほんの少し時間を巻き戻し、歴史を振り返れば今日の平和には一片の保証もなく、努力なくして継続的に享受されるものではないと分かる。事実、対岸に目を向けると凄惨な犯罪や内戦、国家間の紛争は増え続け、国際情勢は緊迫化の一途を辿っており、世界の流れは抑止と突発的な衝突に備え、軍事力の増強へ傾いている。その要因は国家体制の違い、領土問題に宗教、民族間の軋轢などと様々だが、今も続くロシアによるウクライナ侵攻は、日本人にとっては特別な問題といえる。何故ならば、太平洋戦争末期に日本が受けたソ連による侵略は、刀折れ矢尽きて敗戦を受け入れた直後に、無抵抗の日本に対して日ソ平和条約を破って行われた蛮行であり、ニュースに映し出されるウクライナの戦況と重なるからだ。戦勝国の利益を基に作られた日本国憲法の前文には、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意したとあるが、信頼に価しない隣国(諸国)の存在がある以上、その主旨は根底から崩れることになる。

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QVの高回転領域のパワーとリアサスのトラクション不足解消に向け研究開発中

 さらに、日本の主権回復の礎となったサンフランシスコ講和条約において領土として批准された竹島は、調印に合わせ解除されることになったマッカーサーラインを模して、海洋権益目当てにドサクサ紛れ敷かれた李承晩ラインによって直前に占拠されてしまった。この主張は国際社会から相手にもされないまま、世界から忘れさられてしまったが、竹島は今も返還されてはいない。日本は、目には映らない国境(領海)に囲まれた島国だからか、国境、領土についての重要性、意識が希薄なような気がする。だが、かつては領土、支配権をめぐりロシア帝国と紛争が絶えなかった樺太において、日露戦争の勝戦国としてポーツマス条約を締結、北緯50度線上に念願のボーダーラインを引いたことがある。もしも、北方領土が奪われていなかったならば、国境は、現実的な問題として日本人の国家感に大きな影響を及ぼしていたことだろうと思う。

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ECUチューンのため、遠路遥々来られたメガーヌ4RS

 近年、国際社会では東シナ海エリアにおける紛争を危惧する声が増えている。だが、不思議なことに当事者であり、失った領土を取り返す難しさを知る日本では、ことの重要性が大きな議論とはならない。それどころか、折しも国政選挙の最中にあって、戦争放棄を謳う憲法があるから日本は安全だと真顔で語る候補者が少なからず存在することに、思わず溜息が出てしまう。そんな時、強い愛国心をもって、戦勝国の意のままに日本の利害に反して作られた憲法の改正に、懸命に取り組んできた政治家が凶弾に倒れた。遅々として進まなかった国家の存亡に関わる憲法の欠陥を改正するまでは、頑張ってほしいと思っていた矢先のことだけに、その死は残念でならない。

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商品撮影に飛び入り参加した我社自慢のスタッフ

 新商品の設計が捗らないときなどに、窓から微かに見える富士山の姿を見ながら色々と考えることがある。多少の苦労はあれど安全に暮らし、自ら選択した仕事に就いている自分がここに在り。一方、彼方の地では、絶望の淵にありながらも祖国のため、家族のために命懸けで戦っている人も居る。先行きが不透明な時代へ入り、改めて平和な日常生活とは与えられるものではなく、自分の力で守り、維持しなければならないと思うと、改憲の二文字が頭を過る。常軌を逸した国家債務と代価に値しない政党助成金を是正する気概はなくとも、弔い合戦で大勝した与党党首は改憲には前向きだ。この機会を逃せば第三の侵攻を許す引き金となるかもしれないだけに、今は目を瞑り改憲への一歩となる2/3議席の確保を無駄にしないでほしいと願うばかりだ。